大昔、ギルドの先輩に「蜘蛛城への死にツアー」なるなるものに連れてってくれたことを思い出したのだ。
ゲートを潜った先には、クモがわんさかいて、倒しても倒しても湧き出てきて、死んでも蘇生してくれる余裕もないような場所だったことを覚えている。
確かその時は、パーティメンバーが全滅してみんなで幽霊になって出口まで彷徨ったか、チャットソフトで危機を知った救援メンバーに助けてもらったんだったかな。
記憶はあいまいだけれど、出来事が強烈で、とても楽しい思い出だったのだ。
現代の強化された白豚なら、単騎でも冒険ができるはず、と思って十何年ぶりに蛇城・蜘蛛城を訪ねてみることに。
ここは少しの隙間を挟んで、鋏角類(蜘蛛)と爬虫類(蛇)が同居している。
そして、彼らはとても仲が悪い。
邂逅すると、喧嘩が始まる。
昔からやってみたいと思ってた、蜘蛛と蛇の激突。
めちゃくちゃ面白いよ、と当時は聞いていたけれど、思ってたほど匹数が少なく、あまりスペクタクルででもなかった。
でもクモと蛇が口々に、
– 敵襲!、敵襲!
– 腐った蜘蛛め!
– 条約は破棄だ!
と、口走るのを聞くと、確かにちょっと面白い。
特効武器の使い分けを間違えないように城の中に潜入すると、黒閣下が蛇陣営に加担していた。
他方、別の方向に行くと、ナイトメアも蛇側に加担していた。
往時はここに多くのテイマーがいて、漆黒のそいつが出るまで待ち構えていたと聞く。
チャンピオン・エリアでの湧き方と比べるとスリリングさもいまひとつだし、城のその先にお宝とか何かがあるわけでもないけれど、昔の思い出の場所を歩くのは楽しい。