ソーサリアに帰ってきてから、4度目の引っ越しなのだ。
最盛期じゃ考えられないことだが、今は土地が余りまくっていて、城とか砦とか贅沢を言わなければ、たいがいのところに大きな家を建てることができる。
ここしばらくは何かと便利のよい禅都に住んでいたけれど、あそこはとにかく煩い。
豚やガチョウの鳴き声もそうだけど、直前に住み着いた場所が港の真ん前なもんだから、
– 確かな筋からの情報だ。あんたが130o 26’N 44o 43’Wにいたら確実に死ぬぜ
だの余計な情報を入れてきやがる。
ここじゃ落ち着いて錬成もできねぇや、ってことで、また引っ越すことにしたわけだ。
海があって、森があって、湧きがなくて、あんま人も来なくて、砦が立つところ、という条件で探し回っていたら、おあつらえ向きの場所を発見。
何とも落ち着くよい場所だ。
2回目の引退が訪れるその日まで、ひっそりとここで隠遁生活を送るとしよう。